医院の情報、掲載先ごとに食い違っていませんか

先生、患者さんから「ネットに載ってる番号にかけたらつながらなかった」って言われたんです。うちの番号、変えたのってもう3年前なんですけど…。それってどこに載ってたんでしょう?

実はね、医院の情報って自分で書いた場所以外にも、あちこちに載っているんですよ。古い情報がどこかに残っていると、こういうことが起きるんです。
医院の名前や住所、電話番号は、自院のホームページやGBP(Googleビジネスプロフィール、Googleマップに表示される医院情報を管理する無料ツール)だけに載っているわけではありません。
医療機関を探すポータルサイトや地域の情報サイト、予約システムなど、院長が自分で登録した覚えのない場所にも医院の情報が載っていることがよくあります。
NAPとは何の略か
NAPは、Name(医院名)・Address(住所)・Phone(電話番号)の頭文字をとった言葉です。お店や医院の基本情報を、ネット上のどこでも同じ表記にそろえることを「NAP統一」と呼びます。
医療機関の場合は、これに診療時間と休診日も加えて考えるのがおすすめです。患者さんにとっては、場所や電話番号と同じくらい「いつ開いているか」が大事な情報だからです。
医院の情報が載っている主な場所
医院の情報が載っていることが多い場所
- GBP(Googleマップ・Google検索)
- 自院のホームページ
- 医療機関を探すポータルサイト・口コミサイト
- 医療情報ネット(都道府県に報告している医療機関情報)
- 自治体や地域の医師会の医療機関検索
- ネット予約システム・SNS
情報がズレやすいのは、旧医院名のまま、ビル名や階数のあるなし、古い電話番号やFAX番号、午後の診療終了時刻や休診曜日の変更漏れといった部分です。一度登録したきり見直していない掲載先ほど、古い情報が残りがちです。
NAPを揃える意味 — 順位の前に患者さんの迷いを防ぐ

NAPをそろえると、Googleマップの順位が上がるって聞いたことあります! それってほんとですか?

うーん、そこは正直、言い切れないところなんです。確実に言えるのは、患者さんが迷わなくなるということ。順位より先に、そっちが大事なんですよ。
「NAPを統一すれば順位が上がる」という説明を目にすることがあります。ただ、Googleの公式な説明を確認すると、そこまで言い切れる根拠は見当たりません。ここでは、公式に説明されていることと、されていないことを分けて整理します。
Googleが公式に説明していること・していないこと
Googleは、ローカル検索の順位を主に「関連性」「距離」「知名度」の3つで決めていると説明しています。そのうえで、「ビジネス情報の内容が充実していて正確なほど、ローカル検索結果に表示される可能性が高くなる」としています。
一方で、「ほかのサイトに載っている住所や電話番号の表記が一致しているかどうか」を順位の要因として明示した公式の説明は、確認できませんでした。NAP統一は「順位を上げる裏技」ではなく、正確な情報を出すための基本と考えておくのが妥当です。
ただし、注意したい点もあります。Googleは、ユーザーからの報告やほかの情報源から集めた情報をもとに、GBPの内容を更新することがあると説明しています。ネット上に古い情報を放置していると、それがGBPに反映されてしまうおそれがあるのです。
ローカル検索の3つの要素については、下の記事で詳しく解説しています。
ズレが患者さんに与える不便
順位への影響がはっきりしなくても、情報のズレが患者さんを困らせることは確かです。
- 古い住所を見て、移転前の場所に行ってしまう
- 古い番号に電話して、つながらない
- 古い診療時間を見て、休診の時間帯に来院してしまう
体調の悪い患者さんにとって、こうした行き違いは大きな負担です。「ネットの情報が間違っている医院」という印象は、医療機関としての信頼に直結します。
NAP統一のいちばんの目的は、患者さんが迷わず来院できるようにすることです。順位のための作業ではなく、医院の基本情報を正しく保つ「情報の身だしなみ」と考えましょう。
まず院内で「正本」を1つ決める

じゃあ、さっそく全部のサイトを直していけばいい感じですか?

おっと、その前にひと手間。ここが大事なんですけど、まず「これが正しい表記」という見本を1つ決めるんです。見本がないと、直すたびに書き方がバラバラになっちゃいますからね。
掲載先を直し始める前に、医院名・住所・電話番号・診療時間の「正しい表記」を1枚の表にまとめておきましょう。この記事では、これを「正本」と呼びます。
正本は、保健所に届け出ている内容や、医療情報ネットに報告している内容と食い違わないように作ります。院内で共有しておけば、誰が更新しても同じ表記にそろえられます。
正本の記入例:医院名「○○内科クリニック」/住所「○○市○○町1丁目2番3号 ○○ビル2階」/代表電話「000-000-0000」(予約も同じ番号)/診療時間「月〜金 9:00〜12:00・15:00〜18:00、土 9:00〜12:00(受付は終了30分前まで)」/休診「日曜・祝日」
医院名の表記
医院名は、看板や届出と同じ正式名称にそろえます。「医療法人社団」などの法人名を含めるかどうかも、掲載先ごとにばらつかないよう決めておきましょう。
GBPの医院名に、地名や診療科を付け足すのは避けてください。Googleのガイドラインでは、看板などで実際に使っている名称を登録するよう定められています。GBPの基本設定は下の記事で解説しています。
住所の表記(丁目・番地の書式、ビル名・階数)
住所は、思った以上に表記がばらつきやすい項目です。地域によっては、郵便などで使う「住居表示(○丁目○番○号)」と、登記で使う「地番」が別に存在することがあります。どちらを使うかを決めておきましょう。
あわせて、「1-2-3」のようなハイフン表記にするか「1丁目2番3号」のような漢字表記にするか、ビル名と階数を必ず入れるかも決めておきます。ビルの中にある医院は、階数がないと患者さんが迷いやすいので、入れておくのがおすすめです。
電話番号と診療時間の表記
電話番号は、代表番号を1つに決めます。予約専用の番号やFAX番号を載せる場合は、「予約専用」「FAX」のように役割を書き添えましょう。
診療時間は、午前・午後の区切り、受付終了の時刻、休診曜日、祝日の扱いの書き方を統一します。「診療時間は18時まで、受付は17時30分まで」のように、診療時間と受付時間の違いもはっきりさせておくと親切です。
掲載先を洗い出して点検する手順

えっ、ポータルサイトとかって、うちが勝手に直せるものなんですか? 登録した覚えもないのに…。

いい質問ですね。自分で直せる場所と、修正をお願いする場所があるんです。まずは全部を洗い出して、直せるところから順番に片づけていきましょう。
正本ができたら、いよいよ掲載先の点検です。次の5つの手順で進めると、漏れなく確認できます。
点検の5ステップ
- 医院名と電話番号で、Google検索とGoogleマップ検索をする
- 表示された掲載先を一覧表にまとめる
- 自院で直せる掲載先から、正本どおりに直す
- 医療情報ネットの情報を確認し、違っていれば報告する
- 自院で直せない掲載先には、修正を依頼する
自院で直せる掲載先
まずは、GBP・自院のホームページ・SNS・ネット予約システムなど、自分で管理画面に入れる掲載先から直します。
GBPでは、Googleがほかの情報源から反映した情報がないかも確認しましょう。管理画面の「収集された情報」などから、どの情報がどこから来たかを確認でき、不正確な情報は取り除けます。
医療情報ネット(都道府県への報告)
医療情報ネットは、医療法に基づく制度で、診療所は医療機関の情報を都道府県に報告する義務があります。報告した内容は、全国統一の「医療情報ネット(ナビイ)」で公表されています。
報告は、G-MIS(医療機関等情報支援システム)で行います。毎年の定期報告とは別に、医院名・所在地・診療科目・診療時間などの基本情報が変わったときは、速やかに報告することになっています。
修正依頼が必要な掲載先
医療機関を探すポータルサイトや、自治体・医師会の医療機関検索など、自院で直接編集できない掲載先もあります。こうした掲載先は、各サイトの医療機関向けの窓口や修正依頼フォームから修正をお願いしましょう。
依頼するときは、正本の内容をそのまま伝えると、表記の行き違いを防げます。点検した結果は一覧表に残しておき、年に1回や診療時間を変えたタイミングで見直す運用にしておくと、ズレが積み重なりません。
移転・改称・電話番号変更時のチェックリスト

実は、うちの医院、来年移転するかもって話が出てて…。そのときって、どこから手をつければいいんでしょう?

移転は情報がいちばんズレやすいタイミングですね。大丈夫、「変更前」「当日〜直後」「変更後」の3段階で進めれば、抜け漏れを防げますよ。
移転や改称、電話番号の変更は、すべての掲載先の情報を一度に変える必要がある場面です。時期ごとにやることを決めておくと、慌てずに済みます。
なお、移転は保健所などへの行政手続きも伴います。手続きの種類や期限は、開設の形態や自治体によって異なるため、管轄の保健所に確認してください。ここでは、ネット上の掲載情報の更新に絞って整理します。
変更前にやること
まず、正本を新しい内容で作り直します。そのうえで、点検で作った掲載先の一覧をもとに、どの掲載先を、誰が、いつ更新するかを決めておきましょう。
患者さんへの告知も早めに始めます。院内の掲示や診察券、ホームページで、新しい住所や電話番号と切り替えの日をお知らせしておきます。
変更当日〜直後にやること
変更当日〜直後のチェックリスト
- GBPの住所・医院名・電話番号を更新する(住所を変えた場合は、オーナー確認のやり直しが必要になることがあります)
- 自院のホームページ・ネット予約システム・SNSを更新する
- 医療情報ネットの随時報告を行う
- 自院で直せない掲載先に修正を依頼する
GBPで住所を変えると、Googleからオーナー確認をもう一度求められることがあります。確認が終わるまでに時間がかかる場合もあるので、余裕をもって進めましょう。
変更後の確認
更新を済ませたら、Googleマップで地図上のピンの位置が新しい場所を正しく指しているかを確認します。ピンがずれていると、患者さんが違う場所に案内されてしまいます。
あわせて、修正を依頼した掲載先に反映されたかを確かめ、医院名や旧電話番号でもう一度検索して古い情報が残っていないかを見直します。数週間〜数か月おきに何度か確認すると安心です。
移転後の確認ポイント:Googleマップのピンの位置/修正依頼の反映状況/旧電話番号・旧住所での再検索/患者さんからの「迷った」「つながらない」という声
まとめ

では、今日のポイントをまとめますね。NAP統一は地味な作業ですが、一度仕組みにしてしまえばぐっと楽になりますよ。
📋 この記事のポイント

たしかに! まずは正本を作って、医院名と電話番号で検索するところから始めてみます。古い番号が載ってるサイト、絶対見つけ出します!

いいですね! 正しい情報がそろっていれば、患者さんは迷わず来院できます。口コミを集めるのもその土台があってこそなので、一歩ずつ整えていきましょう。

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